嘘カノ生活
「間宮さん…壮の事、今も憎んでますか?」



あたしがそう訊ねると、沙織さんはこちらに顔を向けて、やんわりと微笑んだ。

それがどういう意味なのかは良くわからなかったけれど。

 
 
 
「覚えてますか?あの時、あたしがあなたに言った事」

「あの時…?」

 
 
そういわれて、"あの日"を思い出す。

間宮さんに会いに行って、沙織さんに会って、頭が真っ白になって。



「"あなたが壮をとったりするから"…?」



あやふやな記憶を手繰り寄せて、思い出す。

沙織さんはそれに頷いて微笑した。

 

「とったりするから、なんだと思いました?」

「え…?」
 
 

質問の意図が読み取れなくて、思わず聞き返す。

とったりするから。

あたしが、間宮さんをとったりするから…?

少し悩んで言いたい事は分かったけれど、

それをなんと言って良いのかわからなかった。
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