嘘カノ生活
「なんとなく、わかりました?」

「あ、はい…」

「あなたが壮をとるから、あたしが壮と居られなくなる」

「えっと、はい…」
 
 

非情に肯定しにくかったけれど、仕方なく頷く。

沙織さんは再び微笑した。

 
 
「不正解です」

「え?」



予想外の返答に素っ頓狂な声をだす。

動揺するあたしをよそに、沙織さんはその正解を続けた。

それはさらに予想外で。 
 
 
 
「あなたが壮をとるから、壮が幸せになっちゃう」

「幸せ…?」


 
間宮さんが幸せに、なる?

意味がわからなくて首をかしげた。



「壮はあなたと居るのがとても楽しいと言っていました。
 だから、あなたが壮と一緒にに居たら壮は幸せになってしまう」

「でも、そんなのってまるで…」

 
 
そこまで言って、あたしが最初にした質問を思い出す。

"間宮さんのこと、今も憎んでますか"

幸せになってしまうと答えたそれこそが、答えで。
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