嘘カノ生活
「あの…沙織さん、が…」
「うん」
あたしがその名前を口にすると、俊介くんと夕菜は顔を見合わせた。
あたしが来るまでに夕菜も事情を知ったんだろう。
間宮さんはずっとあたしを見る視線だけは逸らさない。
だからどんな風にごまかそうかとか、考える余裕もでなかった。
「あたし、会ってくださいって言ったんですけど」
「俺に?」
「はい。でも、会っても、私がした事は変わらないって」
「そっか…」
言葉を詰まらせながらあたしは口を開く。
どれを言ったら良いのか分からなくて、口が勝手に動いているみたいだった。
「だ、だけど…。もう、恨んでないよって」
「…ん」
「今までごめんねって…言ってて」
結局、言うつもりがなかった言葉も
間宮さんの威圧するような視線に負けて口先から零れる。