嘘カノ生活

「ちゃんと伝わった。ありがとうな」

「ほ、本当に伝わったんですか?」

「おう。俺には伝わった」

 
 
間宮さんが自身有り気にそう言うから、何だかそんなような気がしてしまって、嬉しさが上昇してくる。

もう一度会う機会があるなら、ちゃんと伝わりましたよと

沙織さんに伝えた上げたいと思った。

 
 
「壮がいいならいんだけどさ、ケイサツ沙汰にはなってないの?」



俊介くんがぽつりと疑問を口に出すと、

間宮さんは、ああ、と面倒くさそうな顔をして答える。



「警察が来ても知らん、顔見てないで通しておく」

「あ、そう」

「なんならお前に刺されたとでも言おうか?」

「ちょっと、俺逮捕されちゃうでしょうが!」

 
 
俊介くんがわざとらしく泣き真似をするから、

不思議とおかしくなってあたしの顔も自然に笑顔になった。
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