嘘カノ生活
あの後しばらく4人で他愛もない話をして、夕菜と俊介くんは帰っていった。
だから病室に居るのはあたしと間宮さんだけで、
特に何をするでもなく椅子に座っていた。
窓の外は日も沈みかけて、橙がかってきている。
「いつ頃退院できるんですか?」
「良くわかんねーけど、そんな重症でもないしすぐできると思う」
「そうですか。良かった」
あたしがそう言うと、間宮さんは口角を少し上げ、目を細め微笑した。
すごく優しげな表情だった。
「俺が退院したら、いっぱいどっか行こうな」
「ふふ、はい」
なんだか穏やかな雰囲気で、とても心地が良い。
温かくて、緩やかで、何故か泣きたくなるようなそんな雰囲気。
夕焼けが窓から差し込んで、余計に。
それから少し沈黙が続いたけれど、それさえも居心地が良い。
あたしはそんな空気に流されて、少し眠くなっていた。
目を少しこすって眠気を覚まそうとする。
それに気づいた間宮さんはあたしの髪の毛をくしゃりと梳かした。