嘘カノ生活
12.今
 
それから間宮さんのリハビリも順調に進み、

すっかり日常生活が出来るようになっていた。


そして数ヵ月後、間宮さんは退院した。

それと同時に毎日お見舞いにきていた間宮さんの両親は実家へ戻り、

間宮さん自身も大学の休学を取り消し、また通うようになっている。

 
なにもかもが以前までと変わらない日々。

 
 
「間宮さん、大丈夫ですか?重かったらあたし持ちますけど…」

「ばかか。これくらいで重いなんて言わねえよ」

 
 
そういってずいずいと前を歩く間宮さん。

あたしはその後をせっせとついていく形になる。

 
手には、お参りの為に買った花。

 
休日だったから、と間宮さんは思い立ったように

あたしを連れ出してここへやってきた。

祐平さんが眠る場所へと。

元々は間宮のお家はこの辺りだったらしく、お墓も近い場所にあった。

お父さんの転勤で両親だけが地方へと移り住んだらしい。


あたしと間宮さんは石段を言葉少なに登る。

間宮さんの背中はとても凛々しくて、入院していたのが嘘みたいだった。


しばらくして、階段の上にたどり着く。

そこには立派なお墓が並んでいる。

 
間宮さんが「こっちだ」と言ってまた足早に歩き出した。

あたしはそれにまた、ついて行く。
 
 
そして、最初の角を曲がったところに、それは立っていた。

 

「ここ」

「ここ、ですか…」





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