嘘カノ生活

しばらくして、待ち合わせ場所に近づく。

1度もならなかった携帯をポケットから出して、時間を確認した。


 
「あれ、まだ早いや」



まだ時間まで20分もある。

どこかで暇つぶしでもしていようかな、

と思いを巡らせながら一応待ち合わせ場所を見ると、そこには間宮さんがいた。

いつもは少し遅れてくるくらいの間宮さん。

どうして、こんな時間にいるんだろう。


 
そんな風に思うとなぜか声をかけられなくて、あたしは少し離れたところで立ち止まっていた。


 
ふとよく見てみると、間宮さんはいつもと少し違う服装。

いつもはラフだけど、今日は違和感を感じる。

堅苦しいとまではいわないけれど、ビシッとした格好。


確かに親に挨拶に来る予定ではあるけれど。

あれから何度かうちにきて弟の相手をしてくれたりだとか、

両親と軽く会話したりだとかしていて、今更改まる事でもないのに。


そう思いつつもあたしは未だに間宮さんに駆け寄らない。

なんだか、いつもと違うのは服装だけではない気がして。
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