嘘カノ生活
あたしはその時、少し反対していた。
今度は弟の受験がある年なんだから色々させるわけにはいかない、せめて来年まで待ってと。
ところが肝心のその弟が
「良いよ。姉ちゃんだって受験の時家事とかもやってただろ」
と間宮さんの肩を持つように言ったのだった。
その時一緒にいた間宮さんがそれを聞き逃さないわけがなかった。
父も母もなんだか乗り気で。
それはきっと、間宮さんが頻繁にあたしの家にきて2人と楽しげに打ち解けていたから。
あれよあれよといううちに決まった同棲。
それも今は、もうすぐ半年を迎えようとしていた。
「ほらー。起こしてって言ったのどっちですか」
「んー…」
布団の上から間宮さんの身体を揺さぶってみても、
か細い声を出すだけで、一向に起きる気配がない。
あたしはそれに呆れて、はあと一息つくと布団をバサっとめくった。
季節は冬で、朝は1番寒い。
間宮さんはゆっくりと目を開け、嫌そうにあたしを細目で見ると
小さく「…寒い」と呟いた。