嘘カノ生活
「ふふふ」
「…笑うな。笑うなー!」
1言目を静かに言ったかと思うと、2言目は声を張り上げあたしに向かってくる。
「きゃ、ちょっと…」
「お前が照れながら言うから、俺にも移っただけだっつーの」
間宮さんはあたしを下に組み敷いて、怒ったように言った。
そして一瞬あたしを睨みつけると、ゆっくりと間宮さんの顔が近づいてくる。
嫌がる余裕があったはずなのに、何故か拒めなくてそれを受け止めた。
長いくて少し深いキス。
しばらくしてあたしの息が続かなくなるのを察したのか、間宮さんは唇を離した。
そしてそのまま至近距離で呟く。
「…ゴチです」
「ばか…」
そう言って自然に笑い合った。
そしてふと間宮さんの視線があたしよりも上の時計に目をやる。
少し焦った顔をしてあたしからがばっと離れた。
「やべ!今日俊介と約束あんだよ!10時にうちくんの!」
「えー?!早く言ってくださいよ!わ、もう9時半だし!」
相変わらずの間宮さんの自己中心的なところ。
微笑ましいと思う事もあるけれど、今はそれどころじゃない。
あたしと間宮さんは急いでリビングに向かう。
そしてその後、完璧に冷めあがったコーヒーを飲む事になるのだった。
終.