嘘カノ生活
何が起きているか、すぐにはわからなかった。

息も出来ないくらい力強く。

かすかに震えてる関谷の胸。


抱きしめられてる、そう実感した。

 
 
「せ…関谷?」

「ごめん柏木…。でも俺…」

 
その状態のまま、関谷が何かを言いかけた。





そのとき。


 
「朝未、行くぞ」


後から、間宮さんの声。


「ま…間宮さ…」

「遅れたくねんだろ?バイト」



そう言う間宮さんは、どことなく声色が違った。

ワントーン低い、声。

こんな間宮さん、見たことなかった。
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