嘘カノ生活
抱きしめられていたあたしを関谷から離して、間宮さんはあたしの手を強く握って歩き始めた。
「あの、痛いです、間宮さん…」
強く強く握られた手から、あたしの鼓動が間宮さんに伝わったしまいそうで。
「おい!待てよ!」
と、そう叫んだのは関谷だった。
「そこの…間宮とか言うやつ!」
珍しく関谷が怒り口調で言い放ったのは、間宮さんの名前。
「あ?」
それが気に入らなかったのか間宮さんも対抗し始めた。
「お前…柏木のなんなんだよ!」
「は?彼氏だっつったろ」
「でも、柏木は…」
「ちょ…関谷」
朝の事言うつもりなんだろう。
"お前、あいつと付き合ってんの?"
"答えづらいとゆーか…"
でもそれは、言ってほしくない。
伝えてほしくない。
間宮さんには。
けれど。
あたしはそれを止める術を知らなかった。
「柏木は、付き合ってないっていってんぞ!」