嘘カノ生活
SIDE:ASAMI


 
走り続けて、ようやく見えた間宮さんの背中。

あたしは声を上げて間宮さんを呼んだ。

 
「間宮さん!」
 
  
 
間宮さんはその声に振り向くと、立ち止まってくれた。
 
あたしは先程よりも少し速く走って、間宮さんのもとへと向かった。

 
 

「あ、の…」
 
息が切れて、上手く喋れない。

けれど、必死だった。

言葉で繋ぎとめておかなきゃ、

間宮さんは居なくなってしまいそうで。


必死だった。


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