嘘カノ生活
ぽつり、ぽつりと。

一粒ずつ降りだした雨は、昔のあたしの心で。

今ではどしゃぶりのように降る雨はきっと、今のどうしようもないあたしの心だ。
 
 
 
傘なんて、いらなかった。



頭が痛くたって、具合が悪くたって。

間宮さんに会いたいこの気持ちは最優先された。
 
 
 
けれど、あたしは間宮さんの家なんて知らない。

今日は確かバイト入ってないからSASAKIにもいないはずだ。
 
今、間宮さんがどこにいるか知る方法は、ただひとつだった。
 
 
 
「で、電話…」

カバンから携帯を取り出して電話帳を開く。
 
"間宮さん"

そう登録された電話番号の上で、通話ボタンを押した。
 
 
 
プルルルル…と、機械音が鳴って数十秒。

出てくれるか不安で、緊張もした。

 
そしてようやく、賭けのような電話はつながった。 
 
 
 
 
 
 
『・・・・もしもし』
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