嘘カノ生活
『…おい、柏木?』 
 
そう呼ぶ声も、聞こえなかった。


息が詰まる。

 
人通りの少ない道の上で、崩れ落ちてくのが分かる。

落ちていく記憶の中、間宮さんの顔が浮かんだ。 
 



 
 
間宮さん、好きです。

これが言いたかったんです。

これだけを伝えたかったんです。
 
 
 
別にもう、嫌われててもしょうがないと思った。

あんなひどい事いって、想いが通じるわけもないと。
 
 
 
それでも、どうしても…

好きだって言いたい。


 
会えたら…。

うん、会えたら絶対に。
 
 
 
「…柏木」

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