嘘カノ生活
***

「…わぎ」
 
 
誰かの声がする。

懐かしいような、温かい声。

 
「柏木」


意識が戻っていく中、はっきりとその声を聞いた。

間宮さんの声。
  
目が覚めると、あたしはベッドの中だった。
 
 

すぐそこには間宮さんの顔。

手を伸ばせば届きそうな距離。
 
 


「間宮さん…なんで?」

「お前電話つながったままなんも喋んねえから、行ってみたら案の定倒れてた」 
 
「だって…、あたしがあそこにいるなんて良く分かりましたね」
 
「…ま、偶然見つけんのが早かっただけだ」

 
 
 
…嘘。
 
間宮さんの服は濡れて、色が濃くなっていた。

着替えれば良いのに、なんて思いながらも嬉しくて。 
 
いっぱい探してくれたのかな。

 
 


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