届かぬ出ぬ声。
墜ちてゆく。

甘酸っぱい初恋に・・・

麗子SIDE

初恋がこんなにつらいとは思わなかった。

こんなに簡単に大人を好きになれるなんて知らなかった。
こんなに簡単に大人に心を許せるなんて思わなかった。
睦月さん今頃何してるかな・・・
いつも気になってしまって。
メールするのは私から。
期待しちゃだめだって分かってるのに返事が来るたび嬉しくて。
だけどね。舞い上がった分苦しむのは私なんだ。
そんなの分かってるけど、せめて、今だけは笑って過ごさせて。
神様が居るなら私に少しの時間を下さい。
私は睦月さんのおかげで勉強がんばれるんだから。

学校でメールしちゃだめだけど・・・メールしてみようっと。
「なぁに?携帯なんていじっちゃって。」
そういって友達はにやにやしながらこっちを見てくる。
私は顔に熱が集中するのが分かる。
赤くなってないかな・・・
そんな心配をするけど友達は何も気づかない。
「友達にメール送ろうかなって思ってさ。」
あながち嘘じゃない。
だって睦月さんにとって私は・・・
そういえば私って睦月さんにとって何なんだろう?
感情が押さえきれなくなって目に涙がたまってきて・・・
私は嘘をついた。
「トイレ行って来るね!」
そういってみんなから逃げた。
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