届かぬ出ぬ声。

忘れていた最後の恋。

優雅SIDE

今日も何となく月の異名に来てしまった。
たぶんくせになってるんだ。
私の精神安定剤代わりなんだ。
「こんにちわ。睦月さん。」
そういって入っていく。
睦月さんが困っていた顔を笑顔に変えていった。
「憐君も来てるよ。慰めてやって。」
そういって嬉しそうにほかのお客さんの所へ行った。
きっと憐さん迷惑かけてたんだろうね。
睦月さんが困るぐらい。
慰めてやって?何かあったのかな・・・
妙な胸騒ぎがして、不安になった。
憐さんが気になる。好きなのかも知れない。
「うぉ?誰からのメールだろう・・・」
そういってまんざらでもなさそうな顔をしながら
睦月さんは携帯をのぞいた。
睦月さんにメールなんて滅多に無いのに。
誰か彼女でも出来たのかな?
「あっ。」
そういって睦月さんはにやけた。
やっぱり彼女かな?そんな事を思いつつ特等席に向かった。
特等席には先客がいた。憐さん・・・お酒を飲みながら
泣いていた。昨日の如月さん並・・・
不安で。私は何もできない気がして。
時間が果てしなく止まっていた気がした。
私は掛ける言葉が見つからず立ったまま動けなかった。
たぶん、何もできないから。
あぁ、懐かしいもどかしいこの心。
きっとこれが恋だったんだな。って実感して。
この感情ですらいとおしく思えた。
あなたとの関わりがある感情なんだって思ったら
胸が苦しくて・・・

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