届かぬ出ぬ声。
「睦月なんか今日はテンションが高いわね・・・」
すこしふて腐れたかのように言う如月さん。
それに睦月さんは何も気にしないかのようにカウンターに戻っていった。
「えぇ。まぁ☆」
そう言って。ケータイを弄った。
「誰からのメールよ!?」
「いえ。ちょっと。」
「営業中に携帯を使うな~!!!お客様に失礼よ。」
そういいながら如月さんは不敵に笑った。
悪魔みたいな笑顔を見て背中に悪寒が走った。
「だって・・・麗・・・うう。何でも無いです。」
「麗子ちゃんからのメールなんだ?」
そう言って如月さんと睦月さんは携帯を取り合っていた。
そのころには憐さんもすっかり泣きやんでいて。
微笑んでその輪の中に参加し始めた。
「そんなに麗子ちゃんって可愛いんですか?紹介してくださいよ~。」
憐さんもそんな事言って携帯を奪い始めた。
憐さんに自分を女として見て欲しい。
恋愛対象として見て欲しい。と思った。
淋しかった。好きになっていた。
大人なんて大嫌いだったはずなのに。
人間なんて大嫌いだったはずなのに・・・
憐さんの勝利で携帯は憐さんの手に・・・
「うぉぉ・・・。麗子ちゃんも乗り気なんじゃん。」
そういって如月さんはニヤッといやな笑みを浮かべた。
「許せない。俺が絶対奪ってやる。明後日だな。俺も来るからな。」
明後日。私も会いたい。その麗子って言う子に。
私は明後日もこの店に来ることにした。
明後日の夕方。その時に憐さんに自分の気持ちを伝えたい。

たぶん私は何もできないけど。
奪われたくない。
大好きな人を・・・
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