届かぬ出ぬ声。
優雅SIDE
私は大人が苦手だった。
親に叱られて気分が下がりすぎてどうにもならなかった。
憐を呼び出したかった。
だけど迷惑だよね?
メールぐらいなら良いかな・・・
[会いたい・・・]
いきなり送ってしまった。
だって淋しくて。
いつもいつも憐の優しさに甘えるんだ。
[何かあった?]
そう言う優しさが嬉しかった。
暖かくて心地よかった。
[親とケンカした・・・]
[今から迎えに行く。]
いきなりそんな返信が来てビックリしたけど。
憐と夜に会う事なんて珍しくて嬉しかった。
車のエンジン音が下から聞こえてくる。
憐が来たんだ。急いで駆け下りる。
悩んだときに電話とか掛けてきて話とかは聞いてくれたりするのは良くあった。
だけど、家に来たことは無かった。
今まで一度も。もしかして憐も何かあったのかな?
「優雅!!どこへ行くの?」
私が降りていく音に気づいたのか親がドアから顔をのぞかせ居ていた。
いつもそうおや気取り・・・
「どこでも良いでしょ。」
私はどうしても反抗してしまう。
だって悪いのは私じゃないでしょ?
束縛なんてしないでほしい。
「10時までには帰ってきなさいよ。」
「お泊まりしてくる。」
家出の用意なんて常に出来ていたから。
一日分の服と化粧品とお風呂の用具。
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