届かぬ出ぬ声。
「へぇ~。麗子がねぇ・・・」
「睦月・・・ごめんなさい。」
「いいんじゃない?」
睦月はこちらに目を向けなかった。
だって。睦月だって浮気してるじゃん。
如月さんってひととキスしてるの見ちゃったんだもん。
「睦月!!」
「如月・・・何だよ。」
「だから言ったとおりだったのに。」
そう言って如月さんはにやりと笑って。
睦月の口にキスをした。
「麗子ちゃん?固まってるよ~?」
「ううん。大丈夫だよ。他行こう。」
そう言って腕を組んだ。
「えへ。」
「麗子。」
睦月は複雑そうに私の名前を呼んだ。
もう良いよ。如月さんに私は勝てない。
「何よ。この前だって如月さんとキスしてた癖に・・・」
「クスクス・・・」
如月さんは微かに笑った。
「睦月も馬鹿だね~。純粋な子って騙されやすいのよ。」
「如月。出てけ。この店に来るな。」
「え~。元カノにそんなに冷たくして良いノォ?」
バチン!!
私は我慢できなくなって如月さんにビンタした。
「あっ・・・」
「何するのよ!!!」
私の押さえられなくなった感情が爆発した。
憐さんが入ってきて止めてくれた。
「カウンセラーの癖に人を苦しめるとはだめですね~。ごめんね麗子ちゃん。」
私は何が何だか分からなくてその場に座り込んだ。
「麗子・・・あれは。」
「言い訳は良いよ・・・大人の事信頼出来なかったのにいきなり信頼できるわけ無かったんだ。みんな汚い。」
そう言ってお店を出てしまった。
あれは睦月の過ちでもあったし、
私の過ちでもあったんだ。
本当の事を確かめればこんな事にならなかったのかもしれない。
でも認められなかった。
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