届かぬ出ぬ声。
「麗子ちゃん!!無茶言っちゃだめだよ。親だって心配してきてるんだから。」
睦月の優しい言葉がぐさりと胸に刺さった。
迷惑だって言われてるみたいで。
睦月は私のことちゃん付けで呼んだ。
胸がすごく痛んだ。傷の上に重なっていった。
「睦月?」
少し潤んでしまった。
睦月は嘘付くの下手だよ。
目を逸らしてるでしょ?本当は分かってる癖に・・・
「睦月の馬鹿・・・そんなに如月さんの事が好きなの?元カノって言ってたじゃん。」
私は思わず口に出してしまった。
母親に聞かれてしまった。ばれてしまった。
「麗子あなた・・・そんなお父さんとも変わらない年の人とおつきあいしてるの?こんな所に娘は預けられません。」
睦月は何かがきれたように全てを話し始めた。
「お母さん。麗子の気持ち考えたことあるんですか?俺が一番最初に会ったときの麗子。ぼろぼろだったんですよ?大人を信頼しない目をしてたんですよ?親も信頼できないって。いつも泣いてるような目ですよ?あなたはそれに気付かなかった。引き留める権利は無いはずです。人を傷つけることが最もいけない事だから。」
気づいてたの?私の心の闇が暖まっていったのは睦月が触れたからなんだね。
睦月も昔そうだったの?だから分かるの?
ねぇ・・・。睦月だったから私変われたんだよ。
きっと優雅ちゃんもおなじ。私と同じ冷めた考えの持ち主。
優雅ちゃんも憐さんに会えたことで救われたんだよ。
「睦月さん。あなたは麗子を大切に出来ますか?」
「二人して勝手にそんな展開にして・・・。何で?何でそんな小娘にばっかり目を向けるのよ。前の私と同じだよ?私は変わってないのに何で?この心の傷いやしてよ。」
「如月。お前が変わりすぎたんだよ。人の為のカウンセラーが人を傷つけるようになった。戻れないよ。俺たちは。新たにいい人を探すんだよ。」
睦月は優しくけど、しっかりと目を見て言った。
「麗子。本当にここで暮らしたいの?」
「睦月と一緒に居たいけど。たまにお泊まりするぐらいにする。だって、まだ未成年だしね。」
感情を思うままぶつけて私は冷静さを失っていたことに気付いた。
理性で行動しなければ全て失敗する。
私の心の中でいつもつぶやいてること。
感情を思うままぶつけたら全て失うから。
だから感情をコントロールしないと。
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