届かぬ出ぬ声。
「嘘つき。あの子との本当の関係は?芝居しないで良いから。」
物分かりの良い女の子演じたって。
本当の私はこんなに汚い女なんだよ。
ごめんね。麗子ちゃん。
麗子ちゃんには分からないよ。

「嫌い。憐なんて大嫌い。」
「優雅・・・。ごめんってば。」
「重いの。別れよっか。」
つい、口走ってしまった言葉。
それが自分の心にも重くのしかかった。
「ごめん。優雅が別れたいなら良いよ。」
そう言って。終わった。
あぁ。終わったんだ。
もう会えない。会いたくない。
伝わらなかったんだ。本当の気持ち。
声に出せなかったんだ。
「優雅ちゃん!?本当に良いの?別れちゃだめだよ。」
「ごめんね。ごめん…。バイバイ。」
そう言って電話を切った。
これで、最後。
月の異名にももういけない。
もう、この人達とは縁を切るんだ。
大好きだったのに愛してたのに。
ただ、嘘つかれただけなのに。
なんで、なんで別れちゃったんだろう…。
もう遅い後悔…。
憐より私の方がうそつきだ。
憐は重くなんて無かった。
憐は優しかった。憐が好きだったよ。
何で。私は馬鹿だ。

一日中泣いて過ごした。

「ごめん。憐・・・。」
電話で麗子ちゃんに言った最後の言葉は。
憐に対しての言葉だったんだ・・・。
「ごめんなさい。」
愛してたのに。全部消そう。
麗子ちゃんのも憐のもメアドも電話番号も全て。
今までの事無かったことにするんだ。
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