届かぬ出ぬ声。
怒鳴り散らす如月さんを見ながら睦月は笑っていた。
笑い事じゃないよ。睦月は分かってないよ。
「あの…。」
「うっさいわね。何よ小娘!!」
あれ以来如月さんは私の事を小娘と呼ぶようになった。
「小娘じゃありません。おばさんが…。憐さん私の任せてくれません?後2日で元に戻しますから。」
「はっ?」
睦月と如月さんと憐さん3人が声をそろえて私の方を見た。
同じ行動をしている3人が面白くて私は吹き出してしまった。
「笑ってる場合じゃないの分かってる?」
真顔で聞いてくる睦月が面白かった。
睦月だってさっき笑ってたじゃん。
「二人とも後悔してるんだから会えば和解できるんですよ。」
「だって…。重いって。別れたいって。」
男らしくない憐さんだった。
そんな憐さんを私は思いっきり叱った。
「それでも男ですか?憐さんはもう大人の男なんですよ!?普通好きだったら守るべきじゃないですか。っていうかそんなに弱々しいからそうやって別れることになるんですよ!!好きならさっさと謝ってやり直して来いよ!!!」
「うわぁ。麗子ちゃんの素ってそんなのだったんだ。恐いわね…。」
そこですかさず、如月さんの突っ込みが入る。
「おばさんは黙っててくれません?」
「おばさんおばさんってね・・・。」
如月さんと私がもめていると憐さんは思い詰めた顔をしていた。
「俺行って来る。んじゃ。分かった。だけど…。」
憐さんがすごく優雅ちゃんの事が好きなのが伝わってきた。
大丈夫だよ。二人なら。
「拒絶されるのを恐れてちゃだめだよ!!」
そうして私は微笑んでいった。
「行ってきな。」
私と如月さんの声が被った。
「同意見ですね。」
「同じ女だしね。」
如月さんと私は少しだけ仲良くなりかけていた気がした。
仲良くなれたら良いなって思ってたから。
< 46 / 53 >

この作品をシェア

pagetop