届かぬ出ぬ声。
錯乱

痛み

麗子SIDE
親に裏切られてるなんて今まで気付かなかった。
親なんて大嫌いだったから。
理解して貰いたくもなかった。
ただ…。褒めて貰いたかった。
頑張ったねって言ってもらいたかった。
それなのに…。裏切ってたんだね。
私はいつからこんなに…。

「麗子?ぼっーとしてるよ。俺と一緒に居るの飽きた?」
睦月はいつも心配そうに麗子の事を気に掛けていた。
別れたくなかったから。
愛していたから。ただ率直な気持ちだった。
信じていた。信じ合っていた。
「ううん…。色々あって疲れてるだけ。」
そう言ってかぶせる唇。
麗子からキスをすることはほとんど無かった。
色々問題が解決していないことを意味していた。
心配事があって、疲れが溜まり好いている証拠。
いつもと違う麗子に違和感を感じる睦月。
「俺だったら話せない?」
少し怖がっている睦月。
本当に愛していても人の感情は時に流されやすい。
「睦月。ありがと。でも大丈夫♪睦月が居るから。」
麗子の心の中は真っ暗だった。
全てウソ。ウソで固めた自分を嫌いだった。
もう戻れなかった。
後戻りは出来なかった。信じれなくなっていた。
またいつしか自分が冷めた人間になることを気付いていた。
心が危険だと反応を示していた。
自分の気持ちにウソをつきすぎていたのかも知れない。
麗子は気付けなかった。
「それなら良いんだけど。ずっと側にいるよ。麗子。」
優しく頭を撫でる睦月。
麗子の欲しかった愛の形だった。
だけど、もう遅かった。
遅すぎたのだった。
今更愛を受け取っても麗子は戻れなかった。

睦月のこと愛してるけどもう無理だよ。
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