届かぬ出ぬ声。
「あんたが店を始めたんだから真面目に。」
そういってお兄さんはすっごく不機嫌そう。
如月さんという女性はあわてふためいていた。
「憐君･･･ごめんなさい。」
「また振られたんですか･･･？」
静かにそして哀れみを込めてその男性は言った。
「あはは。情けないよね。私。」
「如月さんは情けなくないですよ。私なんか全然人とかかわれないし好きになっても伝えられないので。」
いきなり私の口から出た言葉だった。
でもこんなの嘘。
また嘘の関係でも築くつもり？
っていうか、
なんでこんな頭やばそうな人に私は話しかけてるんだろう。
「う～んと・・・麗子ちゃん？」
如月さんがいきなり知らない女の子の名前を出した。
誰なんだろう。すごく興味がかき立てられた。
「誰ですかそれ？」
「睦月がほ・・・」
睦月さんあわてふためいて如月さんの口を押さえていた。
そういって睦月さんは如月さんを脅していた。
「それ以上言ったら立ち入り禁止にするよ。」
「じゃあ優雅ちゃんか。」
「何で？知ってるんですか？」
「私はねカウンセラーやってるのよ。睦月に相談されてて。なんかいつも困ってる女の子がいて俺じゃどうにも出来ないんだ・・・おれじゃ誰も救えないのかな。とか弱音吐いてくるのよ。」
「笑える。」
睦月さんの弱音を聴いて何となく私はこの女の人に心を開いてしまった。
「憐さん。如月さんと大変ですね・・・。俺の店利用してくれるのは嬉しいんですけど。酔っぱらいが昼間からいると・・・」
「すいません。」
「憐さん可哀想・・・」
私は憐さんに少しドキドキしていた。
好きなのかな？
「憐君もカウンセラーなんだから・・・」
「あなたじゃないと嫌だという人がたくさんいるんです!!」
「分かったよ・・・」
「ふふ。」
二人のやり取りが面白くて私は少し笑ってしまった。
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表紙・目次

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