アイシテルの合言葉
友達
窓辺の席から見渡す限りの木々には青々と葉が茂っている。
立ち込める熱風に近い空気が教室全体を包み込んだ。
「暑い・・・」
私は机の横にかけていたハンドバッグから季節に合わない桜の扇子を取り出し、自分に向けて仰いだ。
なんとなく教室を見渡してみる・・・
黒板には殴り書きで“自習”と書いてある。
だが、このクラスに自習をしている人はいない。
皆、力尽きたように伏せている。中には鼾をかく者もいた。
「タキ、扇子を貸してくれ。」
タキとは私、滝沢 美夜【たきざわ みや】のこと。
背中を小突かれ振り返る。
胸倉をパタパタさせながら手をこちらに向ける棗 悠夜【なつめ ゆうや】がいた。