アイシテルの合言葉
「棗くん今、私が使ってるんだけど??」
棗くんは聞かないふりをしているのか、私から目をそらす。
私は渋々扇子を彼に手渡した。
「暑っ・・・」
棗くんは片手で前髪をかきあげ、もう片手で仰いだ。
私はそんな彼をじっと見ていた。
「・・・何?」
「ううん。別に・・・」
私は彼から目をそらした。
「見とれてた?色男に??」
棗くんのにやけ方にムッときた私は自分の額に手を当て辺りをキョロキョロと見渡した。
「色男?一体どこにいるのかしらぁ~。」
「んにゃろ・・・干からびろ。」
棗くんは眉間にしわを寄せペシッと私の頭を扇子で叩いた。
脳天から痛みが広がってくるのがわかった。