あの頃の俺はきっと嘲笑うのだろう

第弐交

「国王陛下…
こちらが今回の目玉になります
北東の女、に御座います」


恭しく言う男の言葉が何故か右から左へとすり抜けていく…


ランスロッドは自身の前にある漆黒に目が離せなかった


いや、漆黒の瞳に…が正しいだろうか


漆黒の瞳が自身を射るように見つめている
それに何故か胸が高鳴る


―――呼吸が儘ならない


うまく動かない体に、今日は体調が悪いのだろうかと思っていた


だが、どうやらそれは違ったらしい


見つめていた漆黒の瞳が刹那に濁ったかと思うと、キィン…と刃の音がした


ブツ、


と言う音と共にパサリと落ちる音
それらをバックオンに漆黒の髪が艶やかに揺れた


ガキィィン…


鉄の音が一際強く、響き渡った








 
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