あの頃の俺はきっと嘲笑うのだろう
「これはどういう意味だ、」


目の前で合わさる刃に、ランスロッドは眼の先にある漆黒の瞳を睨み付けた


だが、返事はなくガチリ、と刃が音を立てるだけだ


我が剣と合わさる剣を見て何故それをコイツが所持しているのかと、ふと商人を見やる


「……」


成る程…


腰を抜かした商人の上には奴隷を縛っていた縄
商人の腰には納めるものが無くなった、鞘


――こいつの刀を抜いたのか


女の身にしては感心する腕だ、とランスロッドはどこか落ち着き考えた
だが今は、それよりも…


「もう一度聞く
これはどういう意味だ?」


今の現状に理解がし難かった
女…ましてや奴隷の、
そんなものに襲撃されたのは初めてのパターンだ

――だが、だからと言って手加減などはするつもりはない


ランスロッドは剣を横凪ぎに振り払うと相手の剣を大きく振り払わせた
そして空いた隙を目にも止まらぬ速さで突きを放った
それは相手の喉元寸前で止まる


「チェックメイトだ」









 
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