あの頃の俺はきっと嘲笑うのだろう
―――怯え、震えるか…


そうなるだろうと想像して女を見やる

―――だが、たかが外れた
それは憶測に過ぎなかったのだ


喉元にヒタリ、と添えた切っ先にも女の瞳は射るように己を睨んでいた
向けられた刃に息すらも呑まず、恐れも抱かず
女に握られた剣でさえ、揺らいですらいない
合う目線の漆黒さに、己の方の剣が揺らいだ


ぎゅう、と胸が狭まった気がした
全体的に体が波打つような感覚に陥る



「…私は、」


「!」


突然、聞こえた凛とした女の声…
鈴のようなそれにランスロッドの意識がふわっと戻ったように女に行った


少なからず、ランスロッドは女が口を開いたことに驚いた
全ての意識が女にへと向かう
すると、女の小さなうすピンクの口が動いた


「私は、貴方が大っ嫌いだ」





 
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