あの頃の俺はきっと嘲笑うのだろう
ランスロッドは汚いものを酷く嫌う
そして自身と違う身なりの者は極下級だと下目(カモク)している


更に無駄な労働力は絶対に使わない
小さな荷物ですら手下に持たせた

手のかかるものは嫌いな質なのだろう
今まで戦などで捕まえた敵兵は保釈などにはせずに、すぐさま命を奪ってきている


――――そんな彼が、だ


引き取ると言ったのだ、奴隷…いや、人間を


「…皇帝、熱でもあるんじゃ?」


「お前あとで一発殴らせろ」


イラリオにとっては心底からの心配であったが、ランスロッドは馬鹿にされたのだと受け取った
生憎(アイニク)、今は手が塞がっているので城に戻ったら殴ってやろうとランスロッドは心に留めた








 
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