あの頃の俺はきっと嘲笑うのだろう
含みのあるランスロッドの声色に商人は焦り捲し立てるように報告をする


「ほ、北東の商人より、小さな地の国から血統が優れ、容姿も美々たるモノを一匹…、手に入れたと…」


きっと多額で売れるであろうソレを今、手前ね船に他のやつと共に乗せ帰ったばかりにございましては…。


そう早口に経緯を話した商人は、いい終えるとまた一段と深く頭を下げた


「…血統が優れ、容姿も良々、ねぇ」


噛み締めるようにそう呟くランスロッドの声色からは【いい稼ぎ商品】を手に入れたことからか、少しの嬉々が伺えた


「おい、今回の商品を全て港に降ろせ
今すぐにだ」


はやる気持ちに商人に命ずると、怯えながらも従順に従い早々と自船へと向かっていった男を見つめた
その船には沢山の身寄りのない、いや身寄りがあるものも少なからず入るだろう故人(異邦人)が詰め込まれている


―――いわゆる、奴隷船であった





 
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