想い出の写真
「どーだっていいだろー。はやく帰ろうぜ。暑くてしかたねぇーよ」

俺は足早に歩いた。もうあんまり探られたくなかった

「ちょっと待てよ。純。俺はまだ飲んでねぇーよ」

渉はビールを持ったまま歩きだした。それからは俺の気持ちがわかったのか渉はその話には触れてこなかった。

俺と渉は家も近所だったから帰り道は一緒だった。できれば一人になりたかったのだが渉は帰るまでバカ話をつづけていた。渉なりの気遣いなのだろう

「じゃーな」

渉と別れて家に帰った。

「タダイマー」

っと言っても返事はないのは分かっている。まだオカンは仕事だろーしオヤジは高校は出てすぐに死んじまった。俺は部屋に入るとベットに寝転んびそのまま眠り込んだ。

夢の中で恵美がでてきた。暑い日差しの中で木陰に隠れるように逃げ込む恵美は眩しい物を見るように俺を見ている。水色のTシャツに白色のスカート、左手には俺のあげたリストバンドをしている。これは高校の頃の修学旅行だ。彼女がなにかを叫んでいる。何を言ってるんだろう。

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