想い出の写真
そうしていると始業前のチャイムがなった。それと同時にみんなが席につく。緊張しているのか、みんな無言だった。しばらくすると教室のドアが開いた。

「おはようございます」

入って来たのは背の高い体格のいい男だった。

「そんなに緊張しなくていいぞ。私はみなさんの担任になる青山です。よろしく」

青山はさわやかに言った。その笑顔につられてかまわりの緊張感がなくなったような気がした。

「それでは出席をとります。名前を呼ばれたら大きい声で返事するように」

青山は出席簿を取り出し、男子から呼び始めた。

「出席番号5番 岡部純一」

俺の名前が呼ばれ、少し緊張した。大きい声でといわれても実際に大きい声で返事をする奴はいない。けれど小さい声でもダメだろうと思ったが

「はい」

思ったよりも小さい声が出た。こういうとき声の大きさは難しかった。

「元気がないな。ちゃんと朝飯食べてきたか?」

まわりからクスクスと笑い声が聞こえてきた。
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