青春自転車
『あれ???まだ一人だけ??』


『うん。みんなまだ来てないんだよね。電話番号とかわかる?』


『全員の覚えてないや。』

そぅ、当時はまだ携帯電話が完全に普及していなかったのだ。


友達の家の電話番号を暗記して公衆電話から、かける時代。


クラスの半分が携帯を持ち、クラス半分がない。


僕は携帯電話を持っていたが電話帳に入っているのは、
自宅

おばあちゃんち

親戚の家

くらい。メールなんて、なんの意味があるのか、わからないような感じだった。


ただカッコイイと思われたくて大人っぽくなりたくて携帯を買ってもらった。


もちろん条件付きで!

中間テストで5教科350点以上。


それが僕に与えられた指令である。


死ぬ気で初めて勉強を頑張り、ノルマをクリアして買ってもらった白黒携帯。



なんの意味もなかった。


友達の家の番号を登録しとけばよかったと後悔をした。


『みんなの家に迎えにいく?』

僕はヤツに聞いてみた。



『たぶん月曜から期末だからみんな来ないんじゃない?それか冗談だと思ってたか。』



それだ・・・



いつも冗談を言う。


明日から学校に1番にくるわ〜

次は絶対にボウズにするわ〜
冬のクワガタ見つけにいこうぜ〜


きっといつもの冗談だと思っている。
本気で言っていると思っても期末テスト前だし、


冗談だと思ってたよ〜〜〜

っと言って逃げる気だ。



30分待っても二人っきり。

もう帰るしかないと思った。
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