【モテ期到来】



「足はこう!腰はもっと低く!腕はこう!」




「ちょっと!今お尻触ったでしょ!?」




「触ってねぇーし!ほら、来たぞ!」




「え…えっ!?」




俺は女と一緒に握ったバットを軽く振った。




─…カツンッ…!




「あ!!…当たった!?」




「かすっただけだし…しかも振ったの俺。」




「それでも嬉しい!!」




跳び跳ねて喜ぶ女に俺も自然と笑みが溢れた。




女はスッと手を差し出してポニーテールを揺らしながらニッコリと微笑んだ。




「私、アカリ!佐久間アカリ。高1!」




「ああ…眞島太一。…つか、自己紹介って普通先だろ~?」




アカリの手を握り返しながら言う俺に「そぉ?」なんて惚けてるし。




…コイツのおかげでなんか調子狂ったな…。





溜め息をつき、俺は帰り支度を始めた。




< 11 / 213 >

この作品をシェア

pagetop