【モテ期到来】
「足はこう!腰はもっと低く!腕はこう!」
「ちょっと!今お尻触ったでしょ!?」
「触ってねぇーし!ほら、来たぞ!」
「え…えっ!?」
俺は女と一緒に握ったバットを軽く振った。
─…カツンッ…!
「あ!!…当たった!?」
「かすっただけだし…しかも振ったの俺。」
「それでも嬉しい!!」
跳び跳ねて喜ぶ女に俺も自然と笑みが溢れた。
女はスッと手を差し出してポニーテールを揺らしながらニッコリと微笑んだ。
「私、アカリ!佐久間アカリ。高1!」
「ああ…眞島太一。…つか、自己紹介って普通先だろ~?」
アカリの手を握り返しながら言う俺に「そぉ?」なんて惚けてるし。
…コイツのおかげでなんか調子狂ったな…。
溜め息をつき、俺は帰り支度を始めた。