【モテ期到来】




「ねぇねぇ、太一!もう帰るの?」




「…呼び捨てかよ…帰るよ。変なヤツに絡まれたし…」




「それって私の事!?」




「お前以外誰が居るんだよ!…じゃあな!」





このままここに居たら、バッティングどころじゃない気がして足早に立ち去る。




「またねー!」なんて後ろから聞こえて来たけど、もちろんシカトしてやった。




“また”があったら堪らないっての!




家に帰ると弟が待ってましたとばかりに俺を出迎える。




嫌な予感しかしない…。




「…なんだよ…」




「兄貴さぁ、週末暇?」




「…なんで?」




「服買いに行きたいんだけど、一緒に行かねぇ?」




「なんでお前と行かないといけねぇの?」




「だってさ~兄貴センスいいじゃん?俺そういうの疎いし…」




「…面倒くさい…」




確かに弟“洋次”のセンスは致命的に悪い。




洋次は夏休みにクラスの奴等と出掛けるのに着ていく服がないと捲し立てている。





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