【モテ期到来】
まぁ、“貴重”って言っても特に予定はないんだけど、休みの日は家でのんびりするものだろ?
それをなんで弟なんかと…
「…露骨に嫌な顔すんなよ…」
「だってさ…なんなのお前のその格好…」
今時買い物行くのにジャージって…
俺はダテ眼鏡越しに洋次を睨む。
「だから!!まともな服が無いんだって!」
恥ずかしそうに顔を赤らめながらプリプリと怒る洋次に溜め息しか出ない。
俺のよく利用する駅前の古着屋で弟を全身コーディネートする。
「こんなに疲れたのは1000本ノック以来だ…」
「すげーよ兄貴!あの予算でここまでカッコイイ服買えると思わなかった!」
上機嫌の洋次に昼飯を奢らせる。
俺が休みの日に出掛けたくない理由は人混みが苦手だから。
しかもチラチラとこっちを見てくる視線をひしひしと感じる。