【モテ期到来】
相手はか弱い女の子だ…
“太一、冷静になれ”
と心の中で繰り返し唱える。
“俺まで感情的なったら駄目だ…落ち着け…”
「しつこいわねぇ~!」
「どっちが!?あんた振られたクセに!」
“冷静に…”
「太一君はっ…私が好きだったっ…のよ!?」
キリキリと引っ張っられる右腕。
「だから何よっ…!負け犬のくせに~~っ!!」
グイッと引き戻される左腕。
“…………”
「ッ!……痛いっつーの!!」
思い切り両腕を振りほどくと、よろけた二人が尻餅を着いた。
「痛いし恥ずかしい!なんでお前ら毎回こうなんだよ!!」
涙目の紗夜香ちゃんと、バツが悪そうに視線反らすアカリ。
…そして、限界を越えた俺。
溜め息をつきながら二人を引っ張って起こして呆れた目を向けた。