【モテ期到来】




「よくわかんないけど、納得いくまで話したら?」




そう言って体育館裏にある非常階段に腰を下ろした。




「話す事なんてないし…」




「私もよ!…私は太一君にはっきりして貰いたいの!」




「…それは紗夜香ちゃんか、アカリかって事?」



コクリと頷く紗夜香ちゃんを見て俺はなんて言えばいいか悩む。




「…どっちか言えって言うなら“アカリ”。…だって紗夜香ちゃん、意地になってるだけだろ?」




「…っ!?」




「俺が別れ話切り出したのが気に入らなかっただけじゃん。」




「…そうなの?」




「じゃなかったら俺に依存する意味が解らない。」




返答に困った紗夜香ちゃんがその場から逃げ出した。




…図星か。




「…太一、追わないの?」




「追いかけて何てフォローするわけ?」




「…わかんないけど…。」




「それに俺、今日はアカリに誘われて来たんだし、お前置いて彼女を追うとかおかしくねぇ?」




「…そっか」と呟くとアカリは俺の隣に座った。



< 153 / 213 >

この作品をシェア

pagetop