【モテ期到来】




駅のベンチに座るアカリを見つけて俺は上がった息を整える。




「あ~久しぶりに走った!」




俯くアカリを少し屈んで覗き込む。




「デリカシーなかった。…謝るよ。」




「…いいよ、本当の事だし。」




クスンと鼻をすするアカリの頭に手を置くと「あのな?」と説明する俺。




「アカリが俺好みの服を着る必要ないんだよ。」




「…でも着たかった!」




「…着たな。でもやっぱり似合わなかった。」




「やっぱりって!」




またムッとするアカリに「聞けって」と黙らせる。




「似合わないのは判ってた。でもお前に似合う服も判るよ?」




そう言うとアカリはちらっと俺を見上げ、「ホント?」と聞いた。




「ホント!…俺が全身プロデュースしてやるよ。」




そう言うとアカリはニッコリと笑った。




そんなカワイイ“俺の彼女”に手を差し出す。




彼女はその手を握った。




“恋人繋ぎ”…だっけ?




で、歩きながら俺はアカリに「遅刻もしないように気をつける」って約束した。




始めてケンカしたけど、仲直りしたこの瞬間ってちょっといいなって思った。





   ◇◇◇◇◇◇◇◇


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