【モテ期到来】
駅のベンチに座るアカリを見つけて俺は上がった息を整える。
「あ~久しぶりに走った!」
俯くアカリを少し屈んで覗き込む。
「デリカシーなかった。…謝るよ。」
「…いいよ、本当の事だし。」
クスンと鼻をすするアカリの頭に手を置くと「あのな?」と説明する俺。
「アカリが俺好みの服を着る必要ないんだよ。」
「…でも着たかった!」
「…着たな。でもやっぱり似合わなかった。」
「やっぱりって!」
またムッとするアカリに「聞けって」と黙らせる。
「似合わないのは判ってた。でもお前に似合う服も判るよ?」
そう言うとアカリはちらっと俺を見上げ、「ホント?」と聞いた。
「ホント!…俺が全身プロデュースしてやるよ。」
そう言うとアカリはニッコリと笑った。
そんなカワイイ“俺の彼女”に手を差し出す。
彼女はその手を握った。
“恋人繋ぎ”…だっけ?
で、歩きながら俺はアカリに「遅刻もしないように気をつける」って約束した。
始めてケンカしたけど、仲直りしたこの瞬間ってちょっといいなって思った。
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