【モテ期到来】
太一はあまりスキンシップを取りたがらない。
まぁ、“恥ずかしい”が口癖なくらいだから仕方がないとも思う。
…でも“チュー”くらいしてくれても良くない?
あの文化祭の時以来、そんな素振りすら見せないし…。
…ならばこっちから!!
こっそり握り拳を作り気合いを入れて太一へ歩み寄った。
ソファに座ってテレビを観ている太一に、身を乗り出すように顔を近付けてみる。
私に気付いて振り返ると「…なんだよ」と片眉を少し上げた。
「…あ、隣座る?」
「はい」と少しずれてスペースを空ける太一。
「………はぁ……」
「なんだよ!…座りたいんじゃねぇの?」
私は無言のまま太一の隣に座った。
テレビの音が部屋に響く。
チラッと太一を見ると海外ドラマに夢中でこっちを全く見てないし…。