【モテ期到来】



「ホント悪かった。…ごめんな、嫌な思いさせて…」




すまなそうに私の頭を撫でると、太一は私をチャリの後ろに乗せて走り出した。




太一の背中にギュッってしがみつく。




いつもなら「引っ付くな!」って言ってくるけど、今日は何も言わなかった。




太一はマンションの手前にある公園で一瞬停まると、「寄り道しよっか」って言い出した。




珍しく私に手を差し出す。




ちょっと驚いて彼を見上げると、はにかんで私の手を掴みゆっくり歩き始めた。




「俺さ~友達と馬鹿やったりするの好きでさ。マジで女の子の気持ちとか解んなくて…お前が“普通”って言う事も解ってなかった。」




「じゃあ、勉強になった?」




「ん…なった!」




素直にそう言って笑う太一に私もつられて笑う。




「でも、どんな女の子に言い寄られても…やっぱりアカリがいいって思うんだよ。」




そう。私が合コンに行って欲しくない理由は、太一に言い寄ってくる女の子が居るから。



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