【モテ期到来】
朝の冷えた空気にブルッと身震いしながら私はピーコートの襟を立てた。
「もう冬かぁ…寒いの苦手なのに…」
学校まで歩きながらそうぼやく私に、両脇のあっちゃんとミーコが笑った。
「ホントに寒いの苦手なんだね~!」
「今からそんなじゃ、冬になったらどーするワケ!?」
そんな事言われても寒いものは寒いのだ。
マフラーでも買おうとか考えながら教室に入る。
「おはよ、佐久間!」
「おはよ~…八木澤、元気だねぇ…」
「なんだ、お前最近元気なくねぇ?…例のチャラ男にフラレたか!?」
「ラブラブです~!…寒いのが苦手なだけ。」
「なんだぁ…チャンスかと思ったのに、残念!」
爽やかな笑顔でそう言う八木澤に苦笑しながら、私は空っぽのカバンを机に掛けた。