【モテ期到来】




多分今までそういう対象で見たことなかったから、ちょっとドキッとした。




話し方も雰囲気もさばさばしてて男みたいだし、何より女らしさの欠片がない。




だから一瞬見せた“女”の顔は俺にとって結構ショックだった。




それを悟られたくなくて「ふーん」と適当に返事をして隣の打席で快音を連発させた。




「太一って、バット握ってる時カッコイイね。」




突然そんな事を言われて思わず空振ってしまった。




ムッとしてアカリを睨む。




「やーい。空振りしてやんの~!だっさ~!」




「…うるさい!アカリが変な事言うからだろ!?」




そう言うとアカリは「あ」とちょっと驚いた表情をした。




「初めて!太一が“アカリ”って呼んでくれた!ちょっと嬉しいかも!」



俺はそう言われてなんか恥ずかしくて無視してまたバットを振る。




そんな俺を見ながらアカリは「私ね…」とポツリポツリと話し出した。




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