【モテ期到来】
八木澤の話を聞いた後、私はトボトボと家まで歩く。
その間考えるのはさっき聞いた話だ。
確かに彼の人気はここ最近凄い。
丁度文化祭を境にあちこちから声をかけられるようになったと太一も言ってた。
周りからは有ること無いこと、色々言われるって…。
きっとこの話も狂言だ…そう思いたい。
私は携帯を取り出して太一の電話番号を出す。
でも通話ボタンが押せない。
つい少し前まで無くなったと思っていた不安がまた大きくなる。
彼を信じたいのに信じきれない。
ウジウジ悩んで…ホント私らしくない。
気が付くともうマンションの前で、部屋は日が短くなったせいで真っ暗だった。
「…そうか、今日はママ夜勤だっけ…」
この前太一に家に行くって言っちゃったけど、余計な事を言いそうだから今日は行くのを止めた。