【モテ期到来】
不思議に思って彼女を振り返ると一点を見詰めて立ち尽くしている。
俺もつられて彼女の視線の先に目を向けた。
仲の良さそうな男女…カップルかな?
「…アカリ?知り合いか?」
俺の言葉にハッとして「なんでもない!」と笑顔を見せた。
「太一~!お腹空いた~!」
どこか不自然なアカリの様子が気になったが、突っ込んで聞いていいのか戸惑う。
「ねぇ!何か食べてから帰ろ?」
「ああ…別にいいけど…」
アカリは微笑みながら俺の腕を引いて「早く!」と急かす。
たぶん凹んでる…。
それは判ってるんだけど、俺の腕にアカリが腕を絡ませて来てドキドキして軽くパニック状態。
だって、女と腕を組んで歩くとか初めてだし…。
「…アカリ…あのさ…」
「太一。…何も聞かないで。」
えー…聞かないけどさぁ…。
「…でも俺、ここまでくっつかれちゃうと…どうしていいかわかんねぇんだけど…」
「え?」とアカリは俺を見上げると、腕に視線を移してやっと状況を理解した。
「…太一…本当に女の子に免疫ないんだね。」
「わ…悪かったな!」
たぶん俺、顔真っ赤だと思う。