【モテ期到来】




俺にしがみついて泣くアカリの頭をヨシヨシと撫でてやる。




ここが駅とは逆方向の公園だったせいか、人が居なくて良かった。




しばらくするとアカリは顔を上げて「ごめんね」と呟いた。




「ばーか。らしくねーんだよ!」




腕でグイグイアカリの目元を拭ってやると「痛い痛い」と顔をしかめた。




俺が泣かせたわけじゃないけど、コイツの泣き顔なんて見たくなかった。




だからいつもの笑顔をしたアカリを見てホッとした。




「腹減ったな。ラーメン食いたくない?」




「食べたい!」




「食おうぜ!お前の奢りで。」




「はぁ!?女の子に奢らせる気!?」




「だからお前は女じゃないって。」




怒って追い掛けて来るアカリから逃げながら歩き出す。




あの時泣いたお前も…




泣いたお前を抱き留めた俺も…




“秘密”にしておこうと思った。





   ◇◇◇◇◇◇◇◇

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