【モテ期到来】
でも、それってたぶん彼女からしたら当たり前の要求だと私は感じた。
「ねぇ、太一。三国 紗夜香は彼女なんだし、それは当たり前だよ。」
「俺、別に浮気してないし、お前とだって友達だろ?」
「まぁね。それでもきっと彼女はヤキモチするよ。」
「…俺は?」
私は太一が何を言いたいのかが判らなくて首を傾げる。
「俺はどうなっちゃうわけ?…お前とキャッチボールしたり、バッティングセンター行ったりするのが唯一解放される時間だったのに…」
太一の言葉にドキッとした。
本人は多分何も考えないで言ってるんだろうけど、それって…
「太一。それって都合良すぎだよ。」
「はぁ?何が?」
「私は太一の癒しの道具じゃない。」
半身起き上がって私を見る太一の顔が驚いてる。
私は言ってから“しまった”と思って気まずさを感じた。
「…帰る。」
「…おい、待てよ!」
「太一。ちょっと反省しな!…私も反省するから…」
そのまま私は彼を置いて家に帰った。