前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―
07. もうひとりの攻め女
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翌日の放課後。
戦場は私立エレガンス学院の正門前。
あ、間違った。訂正。
場所は私立エレガンス学院の正門前。
下校中の生徒達が群がっているその門前で大事件が発生。大事件が発生。至急対象生徒は避難せよ!
喧(かまびす)しく本能の警鐘が鳴っているけどもう遅い。対象生徒は避難しそびれてしまった。
ドッと冷汗を流す俺は正門から目を放して叫びたくなる。なんで貴方様がこんなところにいらっしゃるんでっしゃろう! っと。
正門前に立っている宝塚の人、じゃねえ、男装した学ラン姿の王子系プリンセスは同校生の注目の的。
カッコイイだの、なんだの聞こえてくるけど。
んでもって女子生徒数人が声を掛けてたりしちゃってるけど、向こうは笑顔で応対してるけど、何が問題かってやっぱ彼女が此処にいることだ。
昨日の一件、鈴理先輩に話してないからなぁ。
バレた時が余計怖いんだよ。
嗚呼、しかもバッドタイミングなことに俺の両隣を歩く先輩方、右は鈴理先輩、左は大雅先輩、各々驚いてらっしゃる。
ちなみに後方付近には宇津木先輩と川島先輩がいたりいなかったり。
あ、フライト兄弟が向こうにいる。
俺、今日は同輩と帰ろうかな。
……だけど変に逃げたら疑心を向けられるだろうし。
さあてどうする豊福空。
お前に出来ることは、彼女が俺以外の人物に用がありますようにと願うことくらいだぞ。まさしく神頼みだっ。
いや、もしかしたら俺なんぞ忘れているかもしれない。
見ろよ、女子に対するあの満面の笑顔。
視線を向けている男子生徒なんて総無視して、王子スマイル全快。プリンセススマイルとでも称した方が良いかも。
……うん、自意識過剰だよな。
彼女はおんにゃのこスキーなんだ。野郎キラーなんだ。
きっと鈴理先輩に用事があるんだよ。
あ、宇津木先輩に用事があるとか。
彼女、宇津木先輩のこと気に入ってるって大雅先輩が言ってたしな。